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触れる肩 ページ8

肩が触れ続ける。






ちょっと歩きづらいけど、





見上げると綺麗な横顔が見える。



長いまつ毛と、筋の通った鼻。



薄い唇に、白い肌。









ずっと見てると、視線が交わる。





黒「どしたの?」






不思議そうに見てくる顔もたまらなく愛おしい。





ノーセットの黒髪と



少し崩された制服と



彼の甘い匂い。






めくられたシャツから見える筋肉質な腕と




ゴツゴツとした手。





「ううん?好きなところだらけだなって」





黒「ふはっ、なにそれ笑」





かーわいーって言いながら肩にまわされる腕と




頭を撫でる手。







撫でていた手は私の手を握った。





黒「乃杏、迷子になりそうだから」






無邪気に笑ってみせる。




子どもみたいなその笑顔が好き。






意地悪言って見せても照れ隠しだと分かっていた。







耳、赤いよ?






急激に合わせてくれなくなった目。



ただゆっくりと穏やかな時間が過ぎていった。










校門の少し前から周りからの視線がささる。







もちろん人気の蓮くんだから、



噂になるのも一瞬なんだろうと思う。









漫画でよく見るような呼び出しくらったりして。




バケツの水かけられたりするのかな。










「私、全員の女の子敵にまわしてる殺される」





黒「なんで?そんなこと言ったら俺もだよ笑」







そんなことはないんだけどな。




平穏でありますように。







教室までずっと、蓮くんは手を繋いだままだった。





離さないの?と目を見ても




握る力を強めて、離そうとしなかった。






教室に入ると自然に手が離れる。



前後に座って、蓮くんが私の髪でくるくる遊んでいた。






黒「あのさ?」





耳元で呟く。




「なにー?」





黒「自慢したい今すぐ。かわいーだろ、彼女って」






「今日眠たい」






黒「乃杏すき」






照れ隠しでスルーしてたのに




ずっと言ってくる。照れさせようとしてるとしか思えないくらいに。





黒「乃杏」






しばらくの沈黙が続く。





絶対、向かない。向けない。





顔を見ただけで心臓がうるさくなるから。






がやがやと賑やかな教室。


二人だけの沈黙。





高鳴る。



耳いっぱいに広がる鼓動。





痺れを切らしてしまい、振り返る。






「、、どうしたの、」






黒「ほんとに、だいすきだよ」





そんな愛おしそうに見てくるから







甘く溺れてしまう。

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作者名:あまつかくらげ | 作成日時:2024年3月20日 21時

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